アートがものの姿をとる以上、そこには技法・材料、制作動機としてのコンセプト、そして表現という3つの要素が存在します。一般的に、工芸は技法・材料を基にし、現代アートはコンセプトを基にしていますが、それらの要素をオリジナルな視点から探求し、バランスよく制作された作品は、高いクオリティをもっています。最近では、工芸と現代アートが交差し、両方の特徴をもつ優れた作品が多く生まれています。工芸的なこだわりを持ちつつ、現代アートの表現力やコンセプトを併せもつものです。この展覧会では、工芸が基点でありながら、ジャンルを超えて制作をしている10人のアーティストを紹介します。
今回は「うつわ」形という工芸的な美しさをテーマにしています。この「うつわ」形は、造形芸術の視点から考えると、工芸のみに登場する特徴的な形態と言えます。それは単なる容器としての機能だけでなく、工芸的な形態の本質的な意味を含んでいます。例えば、我々は容器を人体の形と関連づけ、口や胴などの名称を与えたり、器に手足を加えて直接人体の表現を行います。そこには単なる道具としての器を超えて、イメージと表現が加わった「うつわ」形が存在します。そして、さらに工芸的な特徴を発展させ、「包み」という概念や「装飾」という観点からも今回の展示を構成しています。自由な工芸表現を通してその本質を問いかける新しい動向を紹介します。
監修・キュレーター
秋元 雄史 Akimoto Yuji
東京藝術大学名誉教授、金沢21世紀美術館特任館長、国立台南芸術大学栄誉教授、美術評論家
1955年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部卒業。1991年から直島のアートプロジェクトに携わる。地中美術館館長(2004~2006年)をはじめ金沢21世紀美術館館長(2007~2016年)、東京藝術大学大学美術館館長・教授(2015~2021年)、練馬区立美術館館長(2017~2023年)を歴任し、2021年から「北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI」の総合監修・キュレーターを務める。主なプロジェクト・展覧会は、「スタンダード」「直島スタンダード2」(香川)、「第1〜3回 金沢・世界工芸トリエンナーレ」(金沢、草屯・台湾)、「工芸未来派」(金沢、ニューヨーク・アメリカ)、「ジャポニズム2018」の公式企画として「井上有一 1916-1985 —書の解放—」(パリ、アルビ・フランス)、「あるがままのアート−人知れず表現し続ける者たち−」(東京)など。著書には『アート思考』(プレジデント社)など
共同キュレーター
高山 健太郎 Takayama Kentaro
株式会社artness 代表取締役
1982年大阪府生まれ。2004年公益財団法人福武財団に入社。2011年まで直島、豊島、犬島の美術館の立ち上げやアートプロジェクトに携わる。2013年にディレクターとして文化事業会社ノエチカの創業に携わり、「KOGEI Art Fair Kanazawa」や「KUTANism」など工芸に特化したアートフェアや芸術祭の立ち上げに8年間携わり、2021年4月アート事業会社の株式会社artnessを創業。主な展覧会やプロジェクトに、「北陸工芸の祭典GO FOR KOGEI」のキュレーションや、文化芸術界に特化した日本で初めてとなるジョブフェア「ART JOB FAIR」などを手掛けている。
京都会場
会期2024年11月3日(祝・日)~11月5日(火)
時間10:00〜16:30受付終了(午後5時閉門)
会場建仁寺 書院
入館料入館には建仁寺の拝観料が必要となります。
京都会場
会場建仁寺 書院
住所京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町
Webhttps://www.kenninji.jp/
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